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<弁理士コラム>審査官
以前のコラムで、拒絶理由通知について書きました。特許出願を行っても、すんなり特許となる確率は低く、8割以上の割合で少なくとも1度は拒絶理由通知が発行されます。
この拒絶理由通知を作成しているのは、審査官と呼ばれる特許庁に勤めている方々です。審査官の方々は、特許法・審査基準に基づいて、出願された発明が特許性を有しているか否かを審査しています。審査官の方々は、審査の結果特許性があると判断した場合は特許査定を行い、特許性がないと判断した場合はその理由(拒絶理由)を通知します。この通知が拒絶理由通知と呼ばれるものです。
特許事務所は出願人に代わってこの拒絶理由通知に対応することも大きな仕事の一つです。審査官の方々が作成した拒絶理由通知の内容を精査し出願人の方と相談した上で、審査官の判断が誤っている場合には、そうじゃないんですよと反論を行ったり、審査官の判断が妥当である場合には拒絶理由を解消するように権利範囲を変更したりして、応答を行います。出願人側から応答があると再度審査官の方々は審査を行います。
このように特許事務所と審査官の方々とは日々多くのやり取りを行っている一方で交流といったようなものはほとんどありません。特許事務所と審査官の方々とは近いようで遠い不思議な関係だなと感じることがあります。審査官の方々も特許事務所について同じように感じているかもしれませんね。
審査官と言えばドイツの物理学者のアインシュタインは、大学卒業後に研究職には就かずに、スイスの特許局で審査官の仕事に就いたそうです。審査官時代のアインシュタインは、審査官の仕事をササっと短い時間で終わらせ、残りの時間で好きな研究に勤しんでいたのだとか。優秀なアインシュタインだからできた研究方法といったところでしょうか。そのかいあってかアインシュタインは審査官時代に多くの論文を発表し、その中には特殊相対性理論といった有名な論文もあったようです。
ところで、拒絶理由通知に応答する際には、審査官の方々とは基本的に書面でやり取りを行っていますので、どうしてもコミュニケーションがうまく取れない場合もあります。そんな時には、審査官の方々と電話でやり取りを行ったり直接面談を行ったりすることもできます。電話連絡や面談を行うと、書面でのやり取りよりも伝達できる情報量が格段に多いですので、やや雲行きが怪しいな・・と思う案件も、良い方に転じることが多いです。また、実際の審査官の方々とお話しすることで、こういう人だったんだなと、審査官の方の人柄などがわかり新鮮に感じることがあります。今のところお会いしたことがありませんが、もしかしたらアインシュタインのような方もいらっしゃるかもしれませんね。
弊所では、拒絶理由通知の応答に際し電話連絡や面談を活用しておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
弁理士 藤澤 厚太郎