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<弁理士コラム>バイオ関連の特許出願について

21世紀はバイオテクノロジーの時代であると言われてきました。バイオテクノロジーとは、バイオロジー(生物学)とテクノロジー(技術)とを組み合せた言葉で、生物の働きを利用する技術のことを言います。一例としましては、農業分野での作物の品種改良、医療分野でのワクチンや再生治療、工業分野でのバイオ燃料等でバイオテクノロジーの技術が利用されています。

昨今のコロナ禍でも世界で初めてメッセンジャーRNAワクチンが開発・実用化されましたように、今後のバイオテクノロジー技術の進歩にはさらに期待が高まる状況となっています。

筆者は高校時代に生物学に興味を持ち、大学・大学院時代には生物を専攻しました。所属研究室では、実験や研究でのご指導や学会参加等を通じて最先端のバイオテクノロジーの技術に触れる機会を頂きました。また共同研究にも携わらせさせて頂き、指導教官の先生には大変貴重な経験をさせて頂き感謝しております。その共同研究の際にご指導頂いた共同研究先の先生が研究成果を特許出願されていることを伺って知財業界に興味を抱き、特許の観点から技術の発展に役立てることはないかと考え私は知財の世界に進もうと決めました。

ここで、欧州委員会の共同研究センター(JRC)より世界のバイオ技術の特許取得状況を分析した報告書が発表されています(https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/03/eba112692fc0914b.html)。この報告書によると、2020年のバイオ技術特許の取得を国別に見ると、米国が最も多く、全体の39%を占め、次いでEU(18%)、中国(10%)となっているとのことです。我が国日本ではまだバイオテクノロジーの特許の取得比率は世界全体でみると高くないようです。しかしながら、これはまだ日本では、バイオテクノロジーの分野において特許化されずに埋もれてしまっている発明も大いにあると言えるのではないでしょうか。

なお、バイオテクノロジーに関する発明であれば全て特許を取得できるというわけではありません。例えば人間を手術、治療、又は診断する方法については法律上特許を受けることができません(特許法29条第1項柱書)。ご注意ください。これら法律上特許を受けることができない発明については次回以降にまた触れさせて頂きます。

バイオテクノロジーをはじめ、研究成果を特許として出願されることをご検討されている場合、お困りのことがございましたらまずは特許事務所等の専門家に相談することをお勧めします。弊所でも応じておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

弁理士 吉田 文宣

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