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<弁理士コラム>米国の特許制度における仮出願

米国の特許制度における仮出願(Provisional Application)とは、早期に出願日を確保するための制度であり、通常の特許出願に比べて手続きが簡素化されています。以下に、仮出願の主な特徴をまとめました。

仮出願の目的
• 早期に出願日を確保し、競合他社に先んじて特許を取得する可能性を高める。
• 発明の詳細な内容やクレーム(請求項)を詰めるための時間的猶予を得る。

 

仮出願の主な特徴
• 簡易な手続き:
・通常の特許出願に必要なクレームの提出が不要です。図面の様式も厳密に定められていません。そのため、例えば論文資料や発表資料などをそのまま用いて出願することもできます。
・日本語での出願も可能です。ただし、仮出願に基づいて通常の特許出願を行う場合、日本語でした仮出願の翻訳文の提出が将来的に必要になります。通常の特許出願を行わないのであれば、翻訳文の提出は不要です。

• 出願日の確保:
・ 仮出願は、パリ条約上の正規の出願に該当します。そのため、仮出願は、後の通常の特許出願(非仮出願)の優先権主張の基礎となり得ます。

• 優先期間:
・仮出願日から12ヶ月以内に、その仮出願に基づいて通常の特許出願を行う必要があります。
・この期間内に通常の特許出願を行わない場合、仮出願は失効します。
・仮出願を基礎として別の仮出願を行うことはできません。
・複数の仮出願を基礎として通常の特許出願を行うことができます。この場合、複数の仮出願のうち出願日が最も早い仮出願の日から12ヶ月以内に、それらの仮出願に基づいて通常の特許出願を行う必要があります。

• 審査対象外/非公開:
・仮出願は、審査の対象となりません。
・仮出願日から12ヶ月以内にその仮出願に基づいて通常の特許出願を行わなければ、仮出願の内容は公開されません。つまり、仮出願の内容を秘匿とするか出願して公開するかを判断する猶予が与えられることになります。

 

仮出願のメリット
• 発明を早期に保護し、競合他社に対する優位性を確保できます。
• 特許取得に向けた準備期間を確保できます。

以上の通り、仮出願は、発明を早期に保護し、特許取得に向けた準備期間を確保するための有効な手段となります。
ただし、ケースに応じて仮出願とすべきか否かの判断が必要になりますので、詳しくは専門家(弁理士)に相談することをお勧めします。

弁理士 中村一樹

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