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<弁理士コラム>ドイツの特許出願の審査が遅い・・・
先日、弊所にてドイツでの特許出願(パリルート)の第2回目のオフィスアクションを受領しましたが、第1回目のオフィスアクションが2015年でした。実に7年も経過していました。せめて新たな文献の調査を行っているのかと思いきや、前回の引例を用いて前回とほぼ同様の理由で拒絶をしています。また、前回のオフィスアクションから3年程度経過した後に新たなオフィスアクションを受けるケースも見受けられます。これは我々としても審査期間が長期化している案件として抽出して対応策をお客様にご提案すべきでした。ただ、お客様の中には他社の状況等を考慮してあえて時間をかけて権利化を図ることを希望される場合などもあり、特別なご指示がないかぎりはご提案もしづらいところです。
近年では欧州特許出願の庁費用が高額なこともあり、ドイツ以外の国での権利の必要性が低い場合に、ドイツ直接出願を選択されるお客様も増えています。少し古い統計ですが、2019年のJETROデュッセルドルフ事務所の報告では、ドイツへの特許出願の件数は出願人居住国別でドイツ、日本、米国、韓国の順に多く、審査請求から特許付与までの期間は平均3.1年とのことです(参考:https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2019/20190719.pdf)。オフィスアクションを受けずに登録される場合には審査請求をしてから登録されるまでに3年程度なのかもしれませんが、オフィスアクションを受けた後は、比較的長期化してしまう傾向があるように思います。
なお、ドイツ特許出願の審査を早めるために、審査促進申請を行うことができ、この申請には庁費用はかからず、申請の要件を満たすことは比較的容易なようです(参考:https://hasegawa-ip.com/wp-content/uploads/2020/04/German-Prosecution.pdf)。ドイツでの特許出願の審査は他国よりも時間がかかる傾向ありますので、審査状況を把握し、必要に応じて審査促進申請の手続きを行うことを検討するのが得策です。
弁理士 長田大輔