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<弁理士コラム>クレームを書く

弁理士が行う業務のひとつにクレームを書くという作業があります。特許に接したことがない方がこの言葉を聞くと「苦情でも書くの?」と思われるかも知れませんが、無理もありません。「クレーム」という日本語に対する一般的な認識は、文句や苦情といった意味だからです(広辞苑でもそのように載っています)。ところが、特許の業界で「クレーム」といえば特許請求の範囲を意味します。ここにきて「特許請求の範囲」というよく分からない言葉が出てきてしまいました。それでは、そのよく分からない言葉について少し解説します。

そもそもですが、特許制度というのは簡単に申し上げますと“所定の要件を満たした発明については一定の期間だけ特定の者に対して独占排他権を与えますよ”という制度になっています。しかしながら、独占排他権というのは強力な権利ですので、その権利の範囲、すなわち保護を受ける発明の技術的範囲を予め明確にしておく必要があります。そこで、我が国の特許法では、権利の範囲を「特許請求の範囲」という書面で定めることとしています(※1)。つまり、「特許請求の範囲」は発明の技術的範囲を明示する権利書としての使命を持つことになります(※2)。

さて、「特許請求の範囲」の役割が分かったところですが、この「特許請求の範囲」はとても奥深いものでして、しっかりと書かなかった場合、せっかく権利化されたとしても弱い権利(例えば、権利行使しにくい権利や他社にとって怖くない権利)となってしまう可能性があります。そして、特許請求の範囲をしっかりと書くという行為ですが、言葉ではあっさりと表現されていますが実はとても難しく、特許請求の範囲をどのように記載するかがプロの腕の見せ所になります。

オリーブ国際特許事務所には、お客様の発明を的確に把握して強い権利となり得るクレームをしっかりと書くことができる弁理士等の専門家が多く在籍しております。ますはお気軽にご相談いただければと思います。

 

弁理士 中村一樹

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※1)出典:工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕、特許法、128頁
※2)出典:吉藤幸朔、特許法概説〔第8版〕、186頁、有斐閣