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<弁理士コラム>プログラムの著作権登録について
7月のコラム(イノベーションボックス税制について)で、著作権で保護されたソフトウェアも対象になるとのご説明をさせていただきました。最近、著作権の登録について問い合わせを受けることが多くなりましたので、今回は、日本の著作権、特に、プログラムの著作権登録についてお話しします。
著作権は著作物を創造した時点で自動的に発生するため、著作者が自らの権利を確保するために登録を行う必要はありません。しかしながら、登録による法的安定性を求めるため(例えば、著作権が移転したときの取引の安全性を確保するため等)に、登録制度が設けられています。
著作物(プログラムの著作物を除く)は、創作しただけでは登録できず、公表や譲渡などの一定の事実があることが必要となります。また、登録申請は、文化庁に対して行います。これに対し、プログラムの著作物については、その特異性から「プログラムの著作権に係る登録の特例に関する法律」や施行規則等の特例が設けられており、登録事項や申請先が他の著作物と異なります。
例えば、プログラムは、公表されないことが多いことから、創作年月日の登録が認められています。創作年月日を登録することにより、その年月日において創作がされたものと推定されます。これにより、創作時期の立証が容易になる、保護期間が明確になるなどのメリットがあります。また、プログラムの場合は、従業員等が職務として創作したプログラムであれば、会社名義で公表しなくとも会社が著作者になることができます。また、著作権の登録申請は、「一般財団法人 ソフトウェア情報センター(SOFTIC)」に行います。
このように、プログラムの著作権登録を行うことにより、プログラムの特定が容易、プログラムの創作された年月日が法律上推定されるなどの数々のメリットを得ることができます。したがって、プログラムについては、特許権による保護だけでなく、著作物としての登録を検討されることをお勧めします。
弁理士 川上美紀