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<弁理士コラム>PCTルートでの韓国移行出願に対する新規性喪失の例外の適用
将来的に韓国にて特許権を取得したい発明について、日本国特許庁に特許出願をする前に展示会や学会発表等で発明の内容を公開してしまった場合、どのような条件であれば、自身による公開行為が障害とならずに韓国にて特許権を取得できるでしょうか。今回は、日本で基礎出願を行った後に韓国を含む外国での権利化を目的としてPCT出願を行う場合について検討します。
(1)公開した者が「特許を受けることができる権利を有した者」であること
展示会や学会発表等で発明の内容を公開した者は、「特許を受けることができる権利を有した者」であることが条件となります。公開した者が、発明者や、発明者から特許を受ける権利を承継した承継人でない場合には条件を満たしません。
(2)公知日から1年以内にPCT出願を行うこと
PCT出願を公知日から1年以内に行うことが条件となります。日本国特許庁への基礎出願を公知日から1年以内に行ったとしても、PCT出願を公知日から1年経過後に行ってしまうと条件を満たしません。
(3)韓国への国内書面提出期間経過後30日以内に必要書類を提出すること
韓国への国内移行手続きを行う際に、国内書面提出期間経過後(その期間内に審査請求をした場合にはその請求日から)30日以内に、新規性喪失の例外手続きを受ける旨を記載した書面及びこれを証明することができる書類を提出することが条件となります。(韓国特許法第200条、韓国特許法施行規則第111条)
以上のように、PCT出願を公知日から1年以内に行う必要がある点に特に留意する必要があります。これは、パリルートで韓国出願を行う場合でも同様となります。
なお、新規性喪失の例外の適用を受けることで自身による公開行為については公知とならなかったとの扱いになりますが、他人による同一発明の特許出願がなされると権利取得ができなくなる可能性がありますので、自身で公開する前に特許出願を完了しておくのが望ましいです。
弊所では、以上のようなケースなど、韓国やその他の国での最新の法律・規則に沿った手続きを行えるように、各国の代理人と連携しながら手続きを行っております。
参考情報:
工業所有権情報・研修館 新興国等知財情報データバンク
<韓国の特許・実用新案出願における新規性喪失の例外規定>
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/13896/
ジェトロ
<韓国:知的財産に関する情報>
https://www.jetro.go.jp/world/asia/kr/ip.html
弁理士 長田 大輔