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<弁理士コラム>バイオ関連の特許出願について(その2)

前回のコラムでは、バイオテクノロジーに関する発明について全て特許を取得できるというわけではないことについて触れました。例えば人間を手術、治療又は診断する方法は、医療行為であり、産業上利用できる発明に該当しないことから法律上特許を受けることができないとされています。医療行為に特許が付与されると緊急の患者の治療の際にも医師は特許権者の許諾を求めなければならず、患者の生命や身体を危険に陥れるおそれがあること等が理由です。

ここで、関連する特許法上の条文である特許法第29条第1項柱書では、産業上利用できる発明が特許の対象となることを規定しています(ただし、この他にも新規性や進歩性といった要件も必要です)。
第29条第1項柱書に規定されている特許要件は、
(i)「発明」であること(「発明該当性」とも言います。)
(ii)「産業上利用することができる発明」であること(「産業上の利用可能性」とも言います。)
の2つです。
人間を手術、治療又は診断する方法(いわゆる「医療行為」)の発明については、産業上の利用可能性の要件を満たさない発明の類型として挙げられています。
人間を手術する方法には、外科的処置を施す方法、人体内に装置を挿入する等の方法、麻酔方法等が含まれています。

このように医療行為については特許を受けることができませんが、発明を例えば医療機器の作動方法として表現すれば、産業上利用できる発明に該当するので、特許を受けられる場合があります。具体的には、操作信号に従った切開手段の移動や開閉作動、電磁波等の発信や受信と表現することが挙げられます。ただし、医師が行う工程や機器による人体に対する作用工程を含んでしまうと医療機器の作動方法とは認められませんので注意が必要です。

このように、バイオテクノロジーに関する発明が方法の発明であったとしても必ずしも特許を受けられないわけではありません。表現によっては特許を受けることができる場合もあります。判断にお困りでしたらまずは特許事務所等の専門家に相談することをお勧め致します。

リンク:
特許庁 特許・実用新案審査基準 第III部 特許要件 第1章 発明該当性及び産業上の利用可能性(特許法第29条第1項柱書)

弁理士 吉田 文宣

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