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<弁理士コラム>日本の世界競争力ランキング

IMD (国際経営開発研究所, International Institute for Management Development)は、毎年、「世界競争力年鑑(World Competitiveness Yearbook)」を発表しています。2024年では日本は総合順位が67カ国中38位で、過去最低を記録しました。下記グラフ(出展: https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20241211.html)から分かるように、日本の順位は3年連続で低下しています。1989年から1992年までは4年連続で1位だったことを考えると非常に残念な結果です。

上記の総合順位は、4つの大分類(「経済状況」「政府効率性」「ビジネス効率性」「インフラ」)から導かれますが、特に「政府効率性」(42位)と「ビジネス効率性」(51位)が低迷の原因です。「政府効率性」も低迷していますが、「ビジネス効率性」がこんなに悪いとは驚きです。

「ビジネス効率性」の下位分類は「生産性・効率性」(58位)、「労働市場」(51位)、「金融」(19位)、「経営プラクティス」(65位)、「取り組み・価値観」(57位)となっています。「生産性・効率性」が低レベルで「経営プラクティス」が未熟であり「取り組み・価値観」が十分でないことが問題のようです。まずは、現在の職場での生産性・効率性を向上させることが最優先だと考えます。「経営プラクティス」と「取り組み・価値観」については、経営者をはじめとするリーダーが成果を重視し、組織全体の意識改革を進めることが不可欠です。

一方、日本の知的財産分野について目を向けると、下記のグラフのように、世界の主要5大特許庁(日本、米国、中国、欧州、韓国)の比較では、日本発の特許出願は、ここ数年は中国・米国に次ぐ3位を維持しています。この点では、国際競争力ランキングと比較すると、比較的良好な成績です。日本は伝統的に大企業が多くの特許出願を出すという事情がありますが、世界トップクラスの発明大国です。


(出典:https://link.epo.org/ip5_2023_Stats_Final_pdf

 しかし、なぜ日本の国際競争力はこれほど低いのか?その一因として、発明の社会実装が十分に進んでいないことが挙げられます。これは「経営プラクティス」が67カ国中65位と低迷していることと無関係ではありません。こうした課題を認識し、知的財産を活用して日本の競争力向上に貢献していきたいと考えます。

弁理士 藤田考晴

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